| 炭素固定能の高いグイマツ雑種F1の品種開発と効果の推定(育種科長 来田和人) |
| 【Q1】一般発表部門でカラマツ長伐期施業についての発表がありましたが、来田科長の成果発表では森林の炭素吸収量はある程度の林齢で頭打ちになるとのことでした。温暖化の防止を目標とするならば、伐期を標準的な林齢とし、サイクルを早くした方が効率的なのでしょうか? |
|
【A1】樹木の樹幹部に貯蔵される炭素量が単位時間あたりで最大になる伐期齢は、植栽からある年までの年平均成長量が最大になる樹齢に一致します。「カラマツ人工林施業の手引き(2007)」によると、カラマツの年平均成長量が最大になるのは林齢約40年で、伐期齢をこれにあわせると炭素貯蔵量が最大になります。ただし、伐採した材が利用目的に見合った径級でなければ、貯蔵した炭素を無駄に大気中に戻す結果となりますから、利用目的も考慮して伐期齢を決定する必要があります。 |
|
| 【Q2】グリーム(グイマツ雑種F1の登録品種)を植栽した場合や、低密度植栽(1000本/ha以下)の場合には、炭素固定能は今回発表された結果と比べてどうなりますか? |
|
【A2】グリームの単木炭素貯蔵量はグイマツ雑種F1全体の平均の3.9%増です。一方、今回の研究で最も有望だった中標津5号を母樹とする家系の単木貯蔵量は5.6%増となります。
植栽密度を500本/haとした場合の林分材積や林分炭素貯蔵量は、これらが最大になる植栽密度1500〜1600本/haに比べると、6割弱になります。植栽密度1000本/haでは8割強になります。ただし、利用目的に見合った径級の材を生産することを考慮すると、炭素貯蔵量を最大化するということだけで植栽密度を決定することはできません。 |
|
| 【Q3】今回の発表はグイマツ(G)×カラマツ(L)の雑種での結果でしたが、カラマツ(L)×グイマツ(G)の人工交配家系でも同様にCO2固定能力は高いでしょうか? もし高いならばL×Gでもよいのではないでしょうか。L×Gは球果が大きいので種子生産量もより多くなる可能性も考えられると思いますが、いかがでしょうか。 |
|
【A3】グイマツ花粉の飛散時期とカラマツ雌花の開花時期のずれから、一般的にL×Gの雑種率は低くなります。L×G苗木の雑種判定も難しいため、L×Gの事業化は困難です。また耐鼠性に関しても、L×Gはカラマツにやや近く、G×Lのほうが優れています。このような理由からL×Gの材密度を測定しておらず、L×Gの炭素固定能は高いと予想できますが、実測データはありません。 |
|
| 【Q4】グイマツ雑種F1について、ラジアータパインに類似した材質特性をもつ家系が見つかったとの説明がありましたが、この点について詳しく教えてください? |
|
【A4】樹木の年輪には、密度が低い早材と密度が高い晩材があり、早材の幅が広いと材が軽く弱くなる傾向があります。ニュージーランドでは、成長だけでなく早材の密度が高いラジアータパインの品種改良に取り組み、成功しています。この品種は早材が重たいため年輪幅が広くなっても(すなわち早材幅が広くなっても)、材の密度や強度が低下しにくい特徴を持っています。そのため、ヘクタール当たり1000本以下の低密度で植栽し、25年で胸高直径40cmの木材を生産することが可能となっています。また早材密度と晩材密度の差が少ないため、品質のよい合板用単板を生産することができます。遺伝的な改良に加え、施業面においても早くから枝打ちを行い無節の合板用単板を生産する工夫がなされています。グイマツ雑種F1においても、このような特徴を持つ系統が見つかっており、普及に向けて検討を進めているところです。 |
|
| 【Q5】グイマツ雑種F1の優良家系の苗木生産の将来目標を年間30万本とするとうかがいましたが、この目標を達成するまでの年数的な目途や生産コストはいかがでしょうか? |
|
【A5】平成18年度から民間ベースでスーパーF1(中標津3号と5号を母樹とする家系)の造林が開始されましたが、まだ生産本数は約2万本/年と少ない状況にあります。今後、10年間をめどに年間30万本の生産を達成するため、11社の苗木生産者を対象にさし木苗木生産の技術移転を行っているところです。コストについては、道立林業試験場と北海道山林種苗協同組合の共同研究で5000本のさし木苗木を生産したときのコストは62円/本でした。ただし、これは直接経費のみで、ビニールハウス等の施設償却費は含まれていません。北海道山林種苗協同組合では、スーパーF1の価格を1本あたり135円(税抜き)に設定しています。現在、林業試験場では、生産コスト削減を目的としてさし木技術の改良に取り組んでいるところです。 |
|
| 【Q6】スーパーF1について新聞報道で知りました。このスーパーF1の入手方法について教えてください。 |
|
【A6】スーパーF1の生産量には限りがあるため、現在のところ、国有林、道有林、市町村有林、研究教育機関などの公的機関のほか、低密度植栽など先導的な施業方法を取り入れ、周囲の見本となるような取り組みを行っていただける方に優先してスーパーF1を販売しています。植栽を希望する方は北海道庁水産林務部森林整備課保護種苗グループ(Tel011-231-4111 内線28-629)に相談してください。 |